【下瀬美術館】正門

 広島は大竹市に新しくできた下瀬美術館へ行ってみた。やっているのは開館記念展「おひなさまと近代美術」である。

 朝から車で下道をトコトコ。9時ごろ着く。開館は9:30とのことなので、美術館の駐車場で待とうかと思ったが、正門は時間までクローズされているようで、隣接する晴海臨海公園の駐車場で時間を潰す。

【下瀬美術館】正門近くの看板

 これは正門のところに建てられた看板(?)。くるくる回っている。

 さて時間になったので入場。敷地内駐車場に車を停める。できたての施設なので駐車場もとってもきれい。その周囲も美しい庭園となっている。

 とりあえずは外壁が鏡張りされた円形の建物―――エントランス棟の周囲を回ってみる。訪れたのは3月の月末頃だったが、まだ工事中で入れない場所もちらほらあった。レストランも、4月からオープンとのことだった。この辺はまた次回のお楽しみとしておこう。

 エントランス棟の裏側まで来ると池があり、そこにいくつものカラフルな直方体が浮いている。

【下瀬美術館】可動展示室外観

 これらはただのオブジェにあらず。ひとつひとつが美術品の展示室(およびそれらをつなぐ通路)であるのだそうだ。「可動展示室」と呼ばれ、展覧会の都合によっては配置換えをすることも可能とのこと。

【下瀬美術館】建物の開設図

 場内にはその「可動展示室」やその他の建物に関する解説も展示されていた。美術館であるのにヴィラ(一戸建ての宿泊施設)もいくつかあって、ひとつひとつがアートで個性的な作りになっている模様。

【下瀬美術館】開館記念展「おひなさまと近代美術」

 さて展覧会である。「おひなさまと近代美術」。まずはエントランス棟でチケットを買って、それに付いたコードを読み取り機器に通すことで入場OKとなる。

 エントランス棟から廊下でちょっとのところに企画展示棟ということろがあり、そこにさまざまなお雛様や日本人形の類が数多く飾られている。古いものから比較的新しい時代のものまで、豪華絢爛。自分的には、中国の仮面の将軍として名高い蘭陵王の人形、練り歩く十二支の動物たちの人形が印象に残った。

 そのあとは例の可動展示室へ。こちらは近代美術のコーナー。マティスやシャガールの絵画、エミール・ガレをはじめとしたさまざまな美しい工芸品などが見られ、「あの時代」の美術が好きな者にとってはとてもうれしい。

 だがやはりいちばん印象に残ったのは、飾られている作品も含めた展示室という空間そのものだろう。白い壁に白い床と天井。そんな中で穏やかな、それでいてきらびやかな輝きを放つ作品たち。それらを見ながら歩いていると、みずからの靴音が神秘的に響く。

 展示室から展示室へは自動ドアをくぐり、短い廊下を通って移動するのだが、それが宇宙船とか未来の基地っぽくて、なんだかSFの世界に来たような気分にもなる。

【下瀬美術館】エミール・ガレの庭

 可動展示室を見終わったあとは「エミール・ガレの庭」へ。これは美術館の中庭で、チケットを購入した人しか入れないエリアにある。植物学者でもあった工芸家エミール・ガレが愛し、作品のモチーフとした草木や花々を栽培している。

【下瀬美術館】エミール・ガレの庭の桜

 天気も良く、花の香りも爽やか。ベンチもあるので、陽の光を浴びながらゆっくりする。

 その後は展示物をもう一周し、企画展示棟の屋上の「望洋テラス」に上がって海や周囲の景色を見てから帰ってきた。

 まさに美術館そのものが最新アートとなっている下瀬美術館。何気にアートが盛んな広島県西エリアに、楽しみなスポットがまたひとつできた。