【五臓六腑 本店】焼き貝が名物の広島の居酒屋。サザエ、ハマグリ、牡蠣とあん肝ポン酢、なめこの天ぷら
夜の広島の街をうろうろしている。延々うろうろとしすぎて、客引きのおっちゃんに「何をお探し? 夕方からずっと何か探してるみたいだけど」などと声をかけられた。
カマをかけているのであろうか、と最初は思った。しかしながら、確かに夕方くらいからずっとうろうろしていることは事実である。
うるせぇ、何も探しちゃいねぇ、こちとら不審徘徊が趣味なんだ―――と心の中で思いながら、おっちゃんのことは無視して歩き去り、その通りにはもう足を向けぬことにした。
とはいえそろそろ夕飯が欲しくなる時間でもある。和食や魚介が欲しかったので、「五臓六腑」という居酒屋に入ってみた。
席にはコンロがある。こいつで、貝などを焼いて食べられるお店のようだ。
ビール。それからお通しの、白身魚とナスの串揚げ。これは当たりのお通し。白身魚もナスも、油をほどよく吸って旨し。
焼き貝用の、サザエとハマグリ。
コンロに乗せて焼いていく。
サザエは中のタレが沸騰したらできあがりとのこと―――これでいいだろう。ハマグリはこの状態から一度ひっくり返しもう一度焼く。加熱が不完全だと貝柱が取れないので、じっくりしっかりと。
お味はどちらもさすがに旨い。海の香りや貝独自のクセが、クリーミーさの中に溶けてなんともいえない味わいを作っている。
貝を焼いている間に届いたのはあん肝ポン酢。置いてあったら食べてしまう、あん肝。海のチーズといった味わい。
なめこの天ぷら。これは特においしかった。なめこというとぬるぬるなイメージだが、天ぷらにすることで表面はサクサク、中身はとろとろクリーミーに。
最後は焼き牡蠣。これは焼かれたものが届いた。飾らないそのままの牡蠣の味、香りをダイレクトに堪能。
心身がほどよく満たされたところでお会計。好みの珍味が味わえる、いいお店であった。