【下関市立美術館】「ビアズリーの系譜」展を見に行った
下関市立美術館でやっている「ビアズリーの系譜 アール・ヌーヴォー、日本の近代画家たち」展を見に行った。
下道を車でトコトコと、朝から2時間くらいかけて向かった。
ビアズリーやミュシャ、フィニなどの妖美な世界
9時からかと思って入り口へ向かうと、警備員の人が開館準備のために出てきて9:30からだと教えてくれた。美術館の敷地内には彫刻がいくつかあるので、それを鑑賞しながら開館を待った。さて9:30になり入館。
オーブリー・ビアズリーはオスカー・ワイルドの「サロメ」の挿絵で高名な19世紀の画家。展覧会ではその作品が、実際には本に載らなかった、当時においては未発表のものも含め、資料とともに展示されていた。
神秘的で耽美的、そしてどこか恐ろしげなビアズリーの絵は、19世紀の人々にとって、通俗的な言い方をすればかなりのエログロであったようだ。検閲を受け修正を余儀なくされたり、ボツになったりしたものも多いのだという。
両性具有的なイメージを好んだのも、また人々に抵抗感を抱かせたのかもしれない。乳房のある裸婦かと思いきや、男性器のあるキャラクターの絵などもあった。
ビアズリー以外の作品としては、彼に影響を与えた作品、また彼の影響を受けた作品など、いろいろな作家の絵があった。
ロートレックのポスター、ミュシャやレオノール・フィニの絵などもあり、特にフィニの「四季」という絵が良かった。花の妖精を思わせるような裸婦画で、淡い黄緑色をベースカラーとしているのだが、額縁も同じような黄緑色で、絵にあった神秘的な意匠となっていた。
近代における、ファンタジー性やキャラクター性、イラストレーション性のある絵画が好きな人にはとても満足できる展覧会なのではないかと思った。澁澤龍彦の美術エッセイを読み返したい気分となった。
ところで美術館の敷地内にある彫刻作品をいくつか写真に収めてきたので載せておく。
庭園の彫刻作品3点セット。
「藝術は魂のたべもの」。下関市立美術館名誉館長、河村幸次郎氏の言葉だそうだ。
ぐにゃりとした岩。「こんにゃく石」とのこと。
入り口付近にあるでっかい壺。
空飛ぶペガサスと人。極めて絶妙な力学的計算のもと作られた彫刻らしい。確かにこの形で安定しているというのはすごいし、台風でもあれば人の足とペガサスの羽の接続部分が折れてしまいそうなのに大丈夫というのもすごい。