【広島県立美術館】「安野先生のふしぎな学校」展を見に行った
広島県立美術館でやっている、「安野先生のふしぎな学校」展を見に行った。
特別展・想像力と教養を与えてくれるふしぎな学校
安野光雅氏は島根は津和野出身の画家、絵本作家。山々に囲まれた田舎で育った少年時代、頭の中でさまざまな空想を巡らせ、それによってつちかったセンスをもとに多くの不思議でユニークな作品を創作した。
この展覧会では教員としても働いていた氏の経歴にちなみ、その作品群を「こくご・さんすう・りか・しゃかい・えいご・ずこう」といった教科に見立てて紹介している。
多くの展示物の中でも惹かれたのは「こくご」のコーナーの不思議な絵本「かげぼうし」。奇妙さと不気味さと陽気な明るさが混じり合った独特の世界観。
他には「ずこう」のコーナーにおける「もりのえほん」。一軒は鬱蒼とした木々の絵に見えるが、よく見ればその木の模様などに動物の姿が隠れている。
氏の故郷・津和野にはその作品を所蔵する「安野光雅美術館」もあるそうな。津和野は地元に近いとはいわないが、日帰りで行けないこともない距離なので、いずれ観光ついでに行ってみたく思う。
所蔵作品展・「美術を解剖! 色・形・モチーフ」
さて特別展が見終わったので所蔵作品展へ。今回のテーマは「美術を解剖! 色・形・モチーフ」とのこと。
広島は呉出身の版画家・彫刻家の水船六洲がピックアップされており、そのちょっとダークで不気味、それでいて素朴でユーモラスな雰囲気もある作品は見る者のインスピレーションを刺激してくれる。
他に良かった作品としては、後半の東洋画コーナーにおける大村廣陽の「南苑」という猫の親子を描いた絵。子猫というとむろんかわいいが、よく見るとちょっと虫っぽいような奇妙なところもあるものだが、そういう子猫のリアルな部分もしっかり描いてやはりかわいい。
同じく東洋画コーナーより、児玉希望の「猿猴捉月」。こちらは猿の絵で、水面に映る月を手に取ろうとする猿たちの姿が細部まで丁寧に描かれている。コミカルでありつつ、神秘的な雰囲気。
あとは最後のオブジェコーナー。益田芳徳という人による、不思議な紫色のガラスオブジェ作品が印象に残った。
所蔵作品展も見終わって16時過ぎ。美術館の閉館は17時なのでちょっと時間がある。そういえば広島県立美術館は地下の展示会場で、無料で見られる展示会をやっていることも多いので、それも見ていくこととした。
現代・現役の作家たちによる作品群。抽象画、王道的な人物画や風景画、ファンタジックな絵……様々だが、オブジェ作品もあって、無骨な木材を組み合わせて作られた「金色の豚」、きらびやかで神秘的な東洋風ドレスを身に纏ったドール「ふたつの花」「真珠」といった作品が良かった。